▼今週の注目記事  税新1853号 1面より

違法の自覚ないまま…
名義貸しにご用心

 税理士による名義貸し行為が後を絶たず、毎年何人もの資格者が懲戒処分を受けている。報酬目的で意図的にハンコだけを貸すという行為は多くの所長に無関係かもしれないが、法に触れているという意識が希薄なまま名義貸しに手を染めているケースがあるので注意が必要だ。適法と違法の線引きをきちんと理解しておくことが事務所の事業継続には欠かせない。

毎年、懲戒処分の対象に

 今年公告された税理士懲戒処分のうち、名義貸しが絡むものは9件にのぼる。最新の6月公告分だけでみると4件で、いずれも税理士業務の停止処分が下された。停止期間は4カ月が2件、5カ月と6カ月がそれぞれ1件だった。

 停止期間に差が出るのは、名義を貸した相手の人数やハンコを押した税務書類の数、期間、対価の額の違いによるものだ。懲戒処分の考え方を定めた財務省告示によると、ほかにも懲戒処分の前歴、違法行為がほかの税理士や社会に与える影響、前後の税理士の態度も処分の判断に加味されることがあるという。停止期間の上限は2年とされてはいるが、違法行為が名義貸しだけであれば、よほど悪質でない限り半年以内でおさまるのが通例となっている。

 名義貸しについて税理士に話を聞くと、「税理士登録して何年も経っていな若いひとが小遣い稼ぎ≠フためにやっているケースが多いのではないか。あるいは高齢で引退間近のひとが、自分では税理士業務ができずに、ハンコを押すだけになっているケースもあるのかもしれない」などと多くのひとが同じような推測を述べている。今回の懲戒処分の対象となった4人でみると、登録からの年数はそれぞれ23年、25年、39年、48年となっている。過去の処分を含めても、高齢である可能性はあっても、登録したての若手税理士というケースはほとんどないようだ。

 そもそも故意に違法行為に手を染める税理士ばかりではないという実態もある。東京税理士会の綱紀部・業務侵害監察部が過去にまとめた文書によると、懲戒処分を受けた会員から「たとえ自分で税務書類を作成していなくても、確認作業はしているので、名義貸しをしているという自覚が希薄だった」などという証言を得たという。

 日税連が提示する指標では、名義貸しは@税理士が納税者から業務の委嘱を直接受けておらず、また報酬を納税者から直接収受していないA補助業務に従事している職員が税理士の適正な管理監督下にないB税理士が自己の判断で税務書類を作成していない――といったケースが該当する・・・(この先は紙面で…)

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