▼今週の注目記事  税新1843号 1面より

節税だけじゃない
求められる資金調達支援

 税負担の軽減を最優先にするならば、法人所得を極限まで圧縮するアドバイスをしなくてはならない。だが、顧問先の事業継続まで考える必要がある税理士としては、それが必ずしも正しい提案になるわけではない。特に金融機関から融資を受けるには、利益が多ければ多いほど基本的に有利に働くため、所得圧縮などの対策が裏目に出ることさえある。顧問先の資金繰り改善につながる決算書を作れるか否かは、税理士の腕にかかっている。

見栄え≠フ良い決算書づくりを

 事業者を支援する外部専門家に期待される役割は幅広く、特に財務をはじめとして経営状況を多方面からみている顧問税理士は、事業者からあらゆる提案を求められるものだ。事実、そうしたニーズに応えるべく、税務だけではなく「経営助言業務」も提供している開業税理士は全体の26.2%におよぶ(日税連「第7回税理士実態調査報告書」)。

 なかでも「融資に関する金融支援」を提供しているケースが多く、経営助言業務をしている開業税理士の56.8%が有利な融資を受けるために助力している。「経営計画策定支援等の経営支援」(53.2%)や「経営改善や再生支援」(52.6%)を上回り、さらに「事業承継やM&A」(34.8%)、「デジタル化支援」(18.8%)、「労務支援」(11.3%)、「販売支援」(9.2%)などに大きく差をつけている。

 有利な融資を受けるには、経常的に利益を確保できている事実を示すことが重要だ。金融機関にとって税引後当期利益は返済能力の有無に直結する指標で、その額が多ければそれだけ返済を受けられる可能性が基本的に高くなり、安心して資金を貸し出せる。借り手である事業者側としては、普段から追求している売上アップで利益を高めるのは当然として、利益を数字として示す決算書の作成が求められる。

 例えば今期は黒字が50、来期は20の投資計画(利益マイナス20)と、その投資分のマイナスも含めた赤字見込みが10という場合には、来期の投資計画の今期への前倒しで、今期30、来期10というように、2期連続で黒字にできる。顧問先の次期以降の売上予想や投資計画も把握して対策を練れば、融資の障壁となる赤字を消せる可能性があるわけだ。

 同様の考え方で、節税のために決算月に多額の支出をして赤字を出す事業者も多いが、節税にはつながっても求めている融資を逃すおそれがあるので、慎重な対応が必要だ・・・(この先は紙面で…)

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